持続可能な医療制度と医療の費用対効果のありかた

日本の医療は国民皆保険制度がベースとなっています。
いつでも安心して医療サービスが受けられるのは、日本の健康保険制度が徹底しているからと言えるでしょう。
しかし、医療を支える保険制度が税金と社会保険料、つまり国民のお金で支えられてる以上、持続させるためには費用対効果のバランスを考える視点が重要です。

国民医療費を押し上げる「高齢化」と「新技術」

国民医療費は毎年伸び続けていて、その主な要因は高齢化と新技術にあると言われています。新技術については、昔なら治せなかった病気が今の技術なら治せるというように患者にとってはありがたいものです。
しかし、ゲノム解析技術の進展などによる高額な医薬品なども登場しており、国民医療費が膨れ上がることも懸念されています。
医療に医薬品や医療機器は当然ながら必要です。
しかし、使用される医薬品や医療機器の価格が適正なのかどうか、つまり高額な費用に値する効果があるのかどうかは検証すべき部分とも言えるでしょう。

医薬品や医療機器の価格は厚生労働省が決めている

一般的な企業なら、企業活動で必要な経費については費用対効果を考えるのが普通です。
しかし、医療の世界では費用対効果を論じることはあまりありません。
これは医薬品や医療機器の価格は、企業が自由に決めることはできないためです。
価格決定は厚生労働省の「中央社会保険医療協議会(中医協)」が行います。命を守る医療に必要な薬や機器が安すぎれば開発の質が下がる可能性があり、高価すぎれば医療費がかさんでしまう結果となります。
70年以上にわたり価格決定を行ってきた中医協には、長年の間に培われた知見があります。
最近は医療費高騰が問題となっている現状から、費用対効果を測定する機関の設置や、人口知能を活用した解析などが発表されています。

医療も費用対効果を考える時代に

医療の費用対効果は、現時点では学者や専門家が注目しているものの、まだまだ国民全体が問題意識を持っている状況とは言えません。
医療費が高騰している今、国民全体で医療を考え費用効果を理解しておく必要があるでしょう。
慶応義塾大学大学院に新設された健康マネジメント研究科の「医療経済評価人材プログラム」は、医療経済を研究する日本初のコースです。
幅広い論議を通して日本の医療のありかたを啓発する存在として期待されています。

まとめ

毎年伸び続ける国民医療費の背景には、高齢化社会と医療技術の進化があると言われています。
健康そして命を守る医療技術や医薬品の価格設定に自由経済を導入するリスクは大きいものの、厚生省が定める価格が適切かどうかを評価する視点は重要です。持続可能な医療制度を築くためにも、国民全体が医療を考えることが大切な時代となっています。

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